#4 オールタイム戦争映画ベスト10

毎年、8月になると、戦争のことを考えさせられる。

子どもの頃、私自身は”戦争を知らない子どもたち”として育ち、戦争は社会とか歴史の授業で年号を暗記する程度の関わりしかなかった。だが、大人になり、映画を観るようになってからは、当事者じゃないもん…という顔ができなくなった。

戦争映画は、一言では語り尽くせない。

作り手には、色々な伝え方、色々な想いがあるからだ。

戦争映画といえば、戦場で戦った男たちがメイン という作品が多いだろう。
だが、私は ”戦場で戦った男たち以外の人間” にフォーカスを当てたいと思いながら、オールタイム戦争映画ベスト10を選んだ。

戦地以外でも困難を生き抜いた人が大勢いる。
そんな人々にもまた、今の私たちの命や生活が支えられていることを、強く感じる。


語り部たちの伝えること

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近年、80代、90代の方が、”語り部 (かたりべ)” として、マスコミやSNSに登場するのを よく見かけるようになった。

戦時下を生き抜いた、最後の生き証人。生の声・言葉が聞けるチャンスは、年々少なくなる...。

だから、少しでもその声に耳を傾けたい。


 心で泣いてはいても「戦争反対!」なんて、口に出すことは とてもできなかった。

 思ったことを言っただけで、火の粉が自分にかかってきてしまう…

 その怖さから、従順にならざるを得なかった。
 ※お話の一部を抜粋


そうだったんだなぁ…と思いつつも、自分ごととして実感したのは、実は最近のことだ。


数年前からTイッターを始めた私だが、以前のアカウントでシャドウバンを喰らったことがある。

その時は理由がわからなくて、自身のツイートをいくつか消してみたりしたが効果はなく、後から考えると、他者のツイートにいいね!したことが原因だったのではないかと思われた。(憶測です)

Tイッターは無料で使わせてもらえるサービスである。Tイッター社側に不利益となるようなことをする輩は、シャットアウトされてもおかしくはない。

もちろん他の原因の可能性もあるし、言いたいこと言ってるのに別にシャドウバンなんか喰らってないじゃん!と思われるユーザーも、大勢いる…。その時、本当のことがハッキリとわからない怖さを、私はひしひしと感じた。


 その人の年齢や経験、環境等の違いで、なかなか伝わらないことがある。

 いくら伝えたいことがあっても ”語れる言葉で” しか、語らない可能性がある。

 言っていることは同じことのようでも、違う意味合いが含まれている場合もある。


今を生きる私たちが できるだけ聞き漏らさずにそれらを受け止め、理解できるのかが、明るい未来への鍵となるように思えた。自分も似たような経験をしなければ、言葉の深みに気づけなかったことが、残念に思える…。


「お話」とは表現方法は違うが、映画でもまた、同じことを考える。わからない=駄作、とは限らない。観る価値がないかどうかは、観てみないとわからないし、わからないと思っていた作品が、何年後かに わかることだってあるのだ。


オールタイム戦争映画ベスト10 <感想>

「オールタイム戦争映画ベスト10」は 昨年選んだ10選で ちょっと忘れかけていたこともあり、「男性主人公映画ベスト10」と被っている作品がありますが、何卒ご容赦願います。
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のう、平和の夢を見た


ベトナム映画に期待を寄せることになったきっかけの作品。ストーリーテリングが本当に素晴らしい。ダン・ニャット・ミン監督はもっと世に認められても良いのではないかと思う監督だ。

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ハの地下水道


実は戦争映画が苦手だったのだが、この作品を観て 開眼したと言っても過言ではない。人間界で避けることのできない相反する状況を、うまく切り抜ける難しさ&素晴らしさが詰まっている。

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き人のためのソナタ


激しい戦いのシーンがなくとも、「これは戦争映画だ!」とガッツリ思った。爆弾とか流血シーンより 精神的闘いのような、”目には見えない強さ"の方が、刺さり方が深い。

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ルーム・オブ・イエスタディ


2022年5月に引退したアデル・エネル主演。TIFF2016のコンペで上映され、東京グランプリ&WOWOW賞をW受賞した。審査委員長のジャン=ジャック・ベネックスは "彼女には また機会があるだろうから"と 主演女優賞を他の女優に与えたが、アデル・エネルに授賞して欲しかった!

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ンコクナイツ


自衛隊員として他国に行き、帰るに帰れなくなってしまった日本人、ってリアルにもいそうな気がする。誰も責任をとらないことからジワジワ湧き出るような痛み。これも戦争映画と言ってもいいのではないかと思った。

youtu.be
2:25 頃_今も残る空爆の跡地。ラオス全土に爆弾が落とされたことは あまり知られていない…

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バンコクナイツ: 潜行一千里



際市場で逢いましょう


戦争がなかったら、全く違う人生だっただろう。軍人としてだけでなく、別の形で国に貢献する人がいたのだということを、映画を通してはじめて知った。

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なたはまだ帰ってこない


”ひたすら待つ女たち”の日常をドラマティックに描いた作品で、アジアの戦争映画とは一味違った感覚が、斬新だった。

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かんの丘 (タンジェリン)


戦争が身近に起こっていても自分の気持ちを大切にし、人間らしく生きるマイペースなおじいさんが大好きで、何度もリピっている。

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華 Youth


戦争に翻弄される若者たちの姿が、瑞々しく、美しく描かれている。中国映画を観ていると素敵な作品が多いだけに、近年の国際情勢が悩ましい…。

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たちは希望という名の列車に乗った


自分の考えを持ち、行動・実行できる高校生って、日本にどのくらいいるんだろう。(自分が高校の頃なんて 大人の言いなりだった) 自分らしく生きる道を自分で選ぶ勇気に感動する作品。

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戦争は終わっちゃいない…

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「戦後」という言葉があるくらいだし、戦争なんてとっくに終わったのかと思っていた。

再び戦争が起こらないように 多くの人が戦争の悲惨さを伝え続け、多くの人が反対しても、戦争はなかなか終わらない。

しかも、日本は関係ないとは言えなくなってきた。



コロナも収束してないし、政治と宗教の問題も無視できない大問題ではあるが、「日本が戦域に入る」のって、待ったなしの緊急事態なのでは?!

様々な国の戦争や内戦をずっと外から眺めたり、映画を観て泣いたりしてたけど、全然心の準備ができていなかったことに、今更気づいた。

語り部たちの話を毎年のように聞いてきたというのに、いざとなったら私も従順に従うだけ、なの、か…?

戦争映画の様々なシチュエーションを脳裏に駆け巡らせながら、何とか生き抜き、私自身もいつか語り部となる日が来るのかも…などと妄想する今日この頃である。


終わりに

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事実は小説より奇なり、という言葉がある。

ありえないようなシチュエーションに心捉えられる映画を、これまではエンタメとして楽しんできたが、近年、ありえないシチュエーションが現実でも多発するようになり、問題解決されないまま生きるのが、だんだんつらくなってきた。正に、小説(とか映画)よりも、奇なる現実…。

これからの時代、アドリブで生き抜くことができるだろうか。

映画から学ぶことは 多い、と 改めて思う。
オールタイム戦争映画ベスト10 の映画を全部、再鑑したくなった。





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