私たち

2015|監督:ユン・ガウン

 

ドッジボールではいつも外野…白線の外側にいる少女のお話。

韓国にはたくさん青春映画があるけれど、何故か大人の介入がない作品がほとんどだ。日本では「金八先生シリーズ」など、熱血教師ドラマの人気が高い時代が長かったので、大人への信頼を持って私は育つことができたのだが、青春韓タメではそれは期待できないのか…と思っていた。だが、子どもの変化に目をそらさない本作に出会えて、私はとても嬉しかった。「教師」ではないが、お母さんの存在がすごく良い。スクールカーストで心を痛めている子どもは韓国にもいて、陰湿なイジメに大人はなかな気づけない。でも、殴られた弟の仕返しをするスン(主人公の女の子)を「よくやった」と母が褒めるので、彼女は自信を持つようになる。例えひとりでも自分を愛してくれている人がいると確信したら、子どもはまっすぐ育つ!と、涙ながらに私は思った。また、やられたらやり返すことを教えようとする姉に「(そんなのはどうでもよくて)僕は好きな友達と遊びたい」と言い放つ弟の一言には大人の私もカウンターパンチをくらった。誰もが見栄を張る世の中。フェイクを暴けば良いという訳ではないが、納得(満足)できる本物をどこに見極めるのか、小さな女の子が一生懸命に考えようとする姿が愛おしい。

 

*「ORICON STYLE」様、第17回東京フィルメックス(私たち)のご招待、ありがとうございました。*

©2015 Cinemarble / produced by 703