2014|監督:二ティワット・タラトーン
落ちこぼれの優秀さ。
前任者の仕事ぶりはすごく気になるものである。特にそれが周囲の人々と連携してやるような業務ではなく、ほとんどをひとりで担当せざるを得ない仕事だと、どうしても前任者のことを考えてしまう。その時期にどんなことがあってどんな風に対処したのか。前任者だったからできたことことなのか、自分にもできることなのか。ひとりで悩みながら奮闘するのは、1年であってもけっこう長いことだと私は思う。ひとり奮闘が続くと、人との交流にはすごく敏感になる。経験の浅い自分をまず信じてもらえるところから努力が始まるし、人を見る目とか価値観が、だんだん研ぎ澄まされていくような気がする。
本作では13年間付き合った人と簡単に別れられない女教師の最後の決断が小気味いい。価値観…。本当に大事なことだと思う。個人的には色々考えさせられるところも多かったが、映画自体は爽やかで、あたたかさに満ちた作品である。
(したまちコメディ映画祭2015 )(2014 東京国際映画祭『先生の日記』)