2011|監督:カミラ・アンディニ
少女が父親の死を受け入れるまで。
とにかく海と空が驚くほど美しい。地球に生きていることを忘れるくらい、都会で干からびている私だが、世の中にはこんなに美しいところがあって、昔ながらの生活をしてる部族がいるのか!と映画を通して知ることとなり、つくづく世界は広いんだなぁと感動した。この映画は漁に出た父親を待つ少女が、鏡に祈るという、独特な世界観の作品である。特筆すべきは子どもの可愛らしさで、特に歌が素晴らしい。私の敬愛するリリ・リザ監督の映画にも超お気に入りの子どもの歌(振付き)のシーンがあるのだけど、この映画も子どもの歌が最高です。 なかなか受け入れられなかった父の死を、幼馴染の男の子がそっと寄り添ってくれるところがとてもいい。大人は事実を誤魔化して生きる術があるのかもしれないけれど、子どもはそうではない。純粋さ、必死さ、真摯に祈る姿…母が見ようとしてこなかった娘の真の姿を周囲の人々が知っているところがちょっと皮肉でもある。自然に生き、自然に暮らす。この部族の素敵な生き方を映画にしてくれている監督は、20代半ばの若い女性監督ということも驚きだ。