完全な憶測だけど
彼女はあの評論家に
憧れていたんだと思う。
”憧れ”と言っても恋とは違い、
評論家としての
モノの考え方や言葉の使い方など、
素晴らしい文章を書く人に対する
尊敬のような気持ち。
1日だけど彼に会えたことは
彼女の中では多分、
神に感謝したい経験だったと思う。
なのに…
再会した時、彼は覚えていなかった。
何という悲しみ。
わかるわぁ、と思っていたら
漱石の本を受け取るシーンになり、
頭を殴られたような気持ちになった。
漱石の『それから』は確かに
読んだはずなのに、
内容を全く
覚えていなかったからである。
2017|ホン・サンス