BOL 〜声をあげる〜

2011|監督:ショエーブ・マンスーブ|パキスタン=インド

 

優れていると思うのは、昔と今の文化・生活が混在している国の状況が上手く表現されているところである。父親の言いつけを守り、貧しい生活に耐えている娘がライヴハウスで現代風にアレンジされた曲を歌うところなんかは非常に清々しい。
だが、どうもこの作品については妙なモヤモヤが残る。「声をあげる」行動が、あまりテーマになっているようには思えないのだ。こういう問題をもっと考えて欲しい!という叫びをテーマにしたかったのだろうなとは思う。しかし結局告発者は死刑…理由があるとはいえ殺人は殺人だ。それに傲慢な父親&ゲイの弟&父に逆らう娘の死後、生き残った家族がイキイキと暮らすようになるラストシーンが何となく納得いかない。亡くなった邪魔者たちを気の毒に思う。
(アジア映画)

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