2010|監督:ミン・ヨングン
あの時産んだ子は死んだはずだったのに。
どんな感情になろうとも日常生活は淡々と、平然と過ごそうとしていることが多いが、私はもともと感受性が強いタイプの人間である。表情にはあまり出さないようにしているが、結構感情の起伏が激しいので、できるだけ抑えようと努力している。映画ファンの中には、日常を忘れて腹の底から笑いたいから映画を観るという人もいると思うけど、私の場合は逆で、普段見せにくい(←自分も他人も)、心の闇に目を凝らして見てみたいと思っている。韓国映画は心の闇をガッツリ描いたものが多いが、この作品も期待を外さないガッツリ系。束の間の幸せを夢見るためにいけないとわかっていることをしてしまうのだが、その心理の奥深さに想いを馳せたり、事実の残酷さに打ち砕かれたりした。人生は思い通りではない。現実は厳しい。それを受け止める勇気が若いふたりに持てるのか…不安も感じる。でも、生きるってそういうこと。厳しさに「慣れる」ことはないと思うけれど、耐えながら受け止めながら生きる、って大切なこと。同じ状況でなくとも、現実につらさを感じる時、こういう映画を観ると丹田にぐっと力が入るような気がする。