『燃ゆる女の肖像』映画感想 捉われてしまった心の行方

見えているのに解っていないことがある。見ようとすらしていなかったのに、偶然目にした一瞬が、心を捉えて離さないことがある。自分の気持ちを認めるか、目を逸らすのか。冒頭の絵がいつ描かれたのかを考えると、切なくて苦しくてたまらない。しっかりと腑に落ちていく、濃密な時間。見なくても想像できる、あの人の手。生涯忘れられないような胸の痛みが生涯最高の幸せであるという皮肉...。希少な経験。愛おしい記憶、28ページ。

2019|セリーヌ・シアマ
第72回 カンヌ国際映画祭(2019年) 脚本賞


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