人間

2013年|監督:チャーラ・ゼンジルジ、ギョーム・ジョヴァネッティ|トルコ、フランス、中国、日本

 

遊びのつもりで賭けをしたせいで、狸の姿に戻れなくなってしまった人間もどき達。

しっかりとした脚本や台詞のない映画が苦手な私は、通常だったらこの手の作品は選ばない。だが、様々な国の人が一緒に作ったところに着目して観ることに。一言で言うと発想の勝利だ。上手な演技や滑舌の良い台詞ではないが、それを上回る表現力が全体的にみなぎっている。また、外国人が見た日本、という観点がとても興味深い。舞台は新宿、出演の多くは日本人だし、よく知る風景だが、多分日本人はこういう視点で映画を撮らないような気がする。また、なんとなく連動していく現実と作り話、という発想が素晴らしい。出演者に言葉を即興で喋らせながらも、ある程度グダグダが計算されていて、展開もきちんとしている。
狸が探し求めていた狐は狐だったんだろうか。もしかしたら、狐は二人の人間に化ける力があったのではないだろうか。
(2015新大久保映画祭)

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