2014|監督:チン・モヨン
仲睦まじいおじいさんとおばあさんの田舎暮らし。
そういえば私はドキュメンタリー映画はそんなに観てきていないことに気づいた。NHKの番組とか、報道的なものをテレビで見ているので、ドキュメンタリーというと、どうやらその傾向が染み付いてしまっているようである。この映画は韓国で大ヒットしたということで楽しみにしていたのだが、日本人の私には違和感があった。
この作品は本当に台詞なしで、ありのままの姿を撮っているんだとは思う。事実だと言われればそれまでである。老夫婦にはもちろん罪はなく、微笑ましく可愛らしいふたりである。だが、お伽話の実写版みたいなのだ。被写体を自由にコラージュして監督の理想の世界を作り上げた、っていう感じ。韓服の似合う100歳近い老夫婦、というだけで絵になるのだが、その歳月を生き抜いてきたリアリティが感じられない。だが、それは最初から撮るつもりがなかったようにも思え、余計に「ドキュメンタリーって何なんだろう」と考え込んでしまった。
(コリアンシネマウィーク 2015)