私の独裁者

2013|イ・ヘジュン

 

俳優に命を懸けた男の生き様と、その姿をじっと見つめる息子。

報われない努力を続けた結果、このような形で昇天することが切ない。俳優という仕事で認められ、高評価を得られる人間は一握りだろう。この世の中にはこんな風にストイックに役にのめり込み、生涯を全うする無名の俳優が、実は他にもいるのかもしれない…。
ソル・ギョングだけでも相当な見ごたえだった。だが、実は父と子の関係が真のテーマだったりするところがこれまた凄い。途中まで、ラブは不要じゃない?と思っていたけれど、なるほど、最後まで観るとちゃんとテーマに繋がっている。近くにいるようでも家族であっても、実は本当の姿を知ることは難しい。俳優と言えども表現しきれなかった、秘めた親心に気づかされるシーンでは胸が熱くなった。
(2015新大久保映画祭)

 

※『22年目の記憶』

 

©2015 Cinemarble / produced by 703