2015|監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
親に勝手に決められる結婚なんてイヤ。
トルコの映画は数えるほどしか観たことがないが、何となく暗め(真面目)なイメージがある。ひとりひとりにはくだけた部分もあるけれど、表面上は感情を押し殺して事なきを得るような。だが、本作はそういったトルコ映画のイメージを払拭させるようなガールズムービーで、吹っ飛びそうになった。淡いパステルカラーが何色もひしめき合うプリズムみたいなまばゆさ、若さ、開放感。まるで子猫のようにじゃれ合いながら暮らす姉妹たちがみずみずしく描かれており、こんなにまぶしいトルコ映画、観たことない!という驚きで、半分ぐらいは過ぎてしまう。そうは言ってもただ楽しいだけの映画ではなく、彼女らの思い通りにならない展開にすぐ心を痛めることになる。処女と信じてもらえず、やけくそで言い放った「世界中の男たちと寝ました」は忘れられないセリフ。自分の気持ちを正直に話せることって実はすごいことなんだ…と思ったし、逃げることは間違ってない!とも強く思った。映画的には光が感じられるラストだが、トルコ社会の実際は、まだあんな感じかもしれない。そんな中、女性の監督がこういう映画を作ったのは素晴らしい。