ムアラフ 改心

2007|監督:ヤスミン・アフマド

 

誰でも皆、神を探し求めるものだよ、それぞれ。

姉妹のキャラがあまりにも魅力的なので、どうしても彼女らをメインで見てしまうのだが、何度か繰り返し見ていると、やっぱり先生(青年)の変化の方がメインテーマだよな…と思う。
パブで働いてる家出娘より学校の先生の方が、世間的には正しい人間だと思うだろう。だがこの映画では、逆に先生の方が彼女たちの「正しさ」に惹かれていくのだ。アニ(姉の名前)は親との衝突で家を出ているが、実は敬虔なムスリムで頭も良く、妹を可愛がったり植物状態の女の子に読み聞かせをしたりと、優しくてかわいい。先生も幼少期のトラウマに悩まされているので実家には帰りたがらないのだが、行かなきゃダメよ!とアニにたしなめられる。一般的には人を変えることは難しく、自分を変えることだって結構難しい。だが彼は、するりと変わるのだ。嫌いなハズの猫に餌をやり、約束通り母に会いに行く…。好きな人から受ける影響って本当にすごい。
愛することや信じることよりも、「許すこと」は難しい。許せないから実家を出たはずなのに、結局それぞれ親に会いにいくこととなり、するりと「許す」。この難題が宗教が結びついている上、イスラム教キリスト教がひとつの作品の中に自然に収まっていることも驚きである。

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