ルイーサ

2008|監督:ゴンサロ・カルサーダ|アルゼンチン・スペイン

喪失の苦しみから立ち上がれていない彼女を支えてくれるのは、一匹の猫だけだった。けれども突然猫の死や解雇、とショックなことが重なり、じっと椅子に座って考え込んでしまうルイーサ。

定年近い年齢の自分をすぐに雇ってくれるところなどないことや、特別なスキルがあるわけではない現実も、きっと頭によぎったに違いない。だが、彼女のその後の素っ頓狂な行動が、ビックリするくらい面白かった。不器用ではあるが、未体験のことにどんどんトライしていく姿が見ていて気持ちがいい。何かにヒラメいた時、スイッチが入るように流れる音楽の使い方も絶妙に上手い。
猫との別れのシーンで号泣するルイーサを見て、私も号泣が止まらなかった。だが彼女は猫のために必死にお金を稼いでいる間、新しいことに物怖じしない勇気や、本当に信じられる仲間に出会うことができた。喪失の苦しみは続くけれど、自分の力で生きていく自信がついたと思う。女の底力に胸が高鳴った名作。

 

 

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