2013|監督:キム・ドクス
無職のパパに働いてもらうために、小学生の娘が考え出したビジネスとは。
「高学歴無職者増問題」と「代理パパが必要な人の多さ」という韓国社会でのふたつの違和感が、コメディ映画に押し込められている。子役が可愛らしく笑える部分もたくさんあるが、どうにもならない日常を息ぐるしく生きている大人たちがとにかくイタい。子どもの方がお金やモノを持っているし、怖いもの知らずで色々な仕組みを利用してしまう。こういう傾向を「映画だから(実際にはない)」と思えないところに怖さを感じる。今の子は容赦なく悪態をつくし、正論や賢さは大人顔負けな場合もある。ビジネスでパパを貸し出すなんてヒドすぎるのでは?!と思ったが、必要としている人が実際にもいそうな気がして、これにもまた胸が痛くなった。結局、娘は泣きながら「他の人のパパにならないで」と言うことになるが、エンディングの雰囲気では代理パパの事業は続いている感じ。ハッピーが加速するような終わり方になってはいたが、誰かが助かると誰かが犠牲になる気がするので、本当にハッピーと言えるのかはわからない気がする。
(コリアンシネマウィーク 2015)