2014|監督:キム・ヒョンソク
全てを捨てても、愛する人を守るということ。
号泣した。正確に言うと私はフォークブームをよく知らない世代なので、ノスタルジーに浸りきれてはいないのだが、この純愛にはしてやられてしまった。ノックアウトされたのは「全てを捨てても守る」姿勢だった。彼女を信じていたわけではなかっただろうし、一生会えなくなることも予想しただろうけど、躊躇せず、とにかく彼女のことを考えた…ココがすごい! その後は多分廃人のように、ただ年齢を重ねるだけの人生だったと思う。正しいとは言えないかもしれないが、本物だ、と私は思った。
この作品で描かれていた恋は、両思いだったのだと思う。だけど彼女は彼ではなく、夢を優先してしまった。中年になって人生を振り返ってみた時、あんなに自分を愛してくれた人はいなかった、と思ったはずだ。「あんな人、滅多にいない」ということは、その当時からわかっていたのに…人生はタイミングだけど、判断力も必要なんだよなぁ。時間が経ってから「そうだったのか!」ということが人生の中では時々ある。そこに密やかな真心が込められていると、号泣が止まらない。