2002|監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
うたた寝という至福。
うたた寝は、パジャマに着替え、家族におやすみを言ってから布団で眠るのとは違う。「健康のために睡眠をしっかりとる」という目的のためではないのだ。寝ちゃいけなかったり、寝なくていいはずの時間にやってくる睡魔。お主も悪よのう…と、半笑いしながら目を閉じかけて…止める。←いい!超いい!ホントに気持ちいいんだよねー、うたた寝って。この映画の終盤は、ルン(女の子)の、至福がかった半目(ほとんど白目)の長回し。わかる、うらやましい、という感情が走馬灯のように脳内を駆け巡り、いつの間にか私も半笑いしてる。(我ながら怪しい...)
将来を約束した恋人とか夫婦だと、理解し合ったり深い信頼を築けるのだろうけど、こんな開放感はないだろうな。責任があるし、生活もあるし。中途半端は良くないことは百も承知なんだけど、この人たちは中途半端な関係性だからこそ、力を抜いてこういう至福の時を過ごせたんじゃないかなぁ。ぐだぐだを責めないで。せめて、映画の中だけでも。