『あの頃。』感想 今がいちばん楽しい!


学校を卒業して大人になると
もう卒業する必要はない。

だが、
同じ状況が続くという訳ではなく、
人生は少しずつ、何かが変わっていく。

ずっと続いてほしいとさえ思う、
充実したオタ活。仲間との友情。

それはある意味、
推しとの出会い以上に
幸運なことだったのかもしれない。

アイドルはいつか、卒業する。
でも「今がいちばん楽しい」日々…

あの頃は良かった、と思う。


2020|今泉力哉

あの頃。 [Blu-ray]




【 ネタバレあり 所感 】

 実は「あの頃は良かった、と思う」映画ではない。日常に変化が起きたことは確かだが、主人公が懐古するほどの年月は流れていないのだ。(2004→2008年、映画の時間の流れとしては4年間)

 どういうことかというと、「あの頃は良かった」と思っているのは、私なのである。
 あの頃のTV・芸能界の活気とか、あの時代の豊かさみたいなものを2021年の今、ひしひしと感じた。今は、バイト身のひとり暮らしの人で、自由に好きなことができる人って少ないと思う。ライブに行くにも推し活をするにも、相当費用がかかるだろうし(ファンクラブに入会するだけでも…)、バンドをやるなら楽器を持っているだけでもメンテナンス代、スタジオ(練習場所)代も必要になる。大阪から東京への引っ越し費用も大きいはず。大阪に住んでいた頃、とても貯金をしているようには見えなかったけど、それでも何とかなったのだろうし、できたことに大きな違和感はない。仕事も探せばあっただろうし、縁あればバンド活動も難しくなかったと思う。
 でも、今はバイトすら探すのが難しい。都内でひとり暮らしをする人は生活費がカツカツで、生きるのがやっとという人が少なくないはずだ。おまけにコロナの不安もあって、2004〜2008年とは状況が大きく変わった。
 
 ハロプロ全盛期を知る者として、あの勢いはとても懐かしい。オタクの気持ちもわかるし、あの友情も羨ましく、めっちゃ刺さる映画だった。だからこそ、コロナ感染に怯えることなく、経済的にもある程度ゆとりがあった ”あの頃は良かった” と、思ってしまうのである。