2012|監督:ミシェル・フランコ
学校でいじめられてるなんて、傷心のパパには言えない。
私の母はとても気持ちが素直な人で、「家族に隠し事はなしだからね」と、よく言う。困ったことがあったらすぐに言いなさい、とも。そういう母で良かったと思う一方で、例え家族と言えども全てを伝えたり理解できるわけではないよなぁ、と思う自分がいる。
家族だからこそ言えないことがある。この映画でも、パパは娘に自分の傷を癒してもらおうとは思っていないし、娘もパパにこんな姿見せられないと思っている。自分の心を全てさらけ出せば良いということでもない。プライドを守ろうとすることで事態が悪化する場合も少なくないが、この作品でも娘が転校先の学校でひどいいじめを受けることになり、展開は良からぬ方向に。親に見せる顔や他人に見せる顔、自分は間違ってないとか問題には関わり合いたくないという気持ち、問題が起こっていても黙っている人たち…。自分を守るプライドについて、随所で考えさせられる。逆上する父親の気持ちは最もだと思う反面、犯罪だと思う。娘に再会できたとしても、父親はこの秘密を言えないだろう。秘密はループする。