両思いのテンションって半端ない。
その煌めきと高揚感は
心地の良いドキドキ…
でも、多分それだけじゃない。
30年以上前のお話を、
ザラザラなフィルムの質感そのままで
表現するオゾン監督を
深読みしたくなる。
同性愛を表に出さないよう、
そっとフォローしてくれたケイトや
気づいてたかもしれない両親…
自己中が許されたのも
やり直しがきくのも
16だからなんじゃ…
大人になって、時間が経過しないと
気づけないこともある。
2020|フランソワ・オゾン
【 ネタバレあり 所感 】
若い男の子の同性愛のお話は近年増えており、それほど珍しいものではなくなってきた。恋の煌めきや瑞々しさという観点では、正直、他にも良い作品はある。ハイティーンのラヴストーリーをオゾン監督が作るとこうなるのか!という期待に一応は満足できるものの、オゾン監督だからこそ、それだけじゃないでしょうという想いもあった。
この作品の中で、ケイトの役割はとても重要だと個人的には思うが、あまり深く触れられていないのは、主人公の彼の中ではそれほど重要な存在ではなかったということだろう。(会わせてもらえない故人に女装で会いに行くシーンは、唯一のオゾン監督らしいシーンである) ケイトの存在の重要さに気づくのは、この年齢では難しかったことは想像に難くない。また、メンタルがやられるような出来事だったもかかわらず、さっさとやり直しができる切り替えの早さも、若さゆえなのでは…。
オゾン監督は「初恋の美しさ」だけを描こうとしたのではなく、「人生を変えた色褪せない思い出」を、大人になって振り返るような映画にしたかったのではないだろうか。ケータイもPCもない時代。いいとか悪いとかではなく、純粋に、若さやその時代を感じることができるのは、年齢を重ねてからこそわかる境地のように思えてならない。