【映画×トーク】 他者の話を聞くことで映画体験が変わる

 映画イベントに、「トーク」というコーナーが組み込まれていることがある。
 監督や出演者など、その作品にゆかりのある人が招かれ、映画にまつわるお話を伺うことができるので、楽しみにしている映画ファンも多いはず!私自身もワクワクしながら、観客としてたくさんの映画イベントに参加してきた。
 コロナ禍で人が集まるのが難しい今、映画トークの必要性について、改めて考えてみたい。

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映画トークはおもしろい!


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映画ファン入門として

 ”もしかしたら私、結構映画好きかも”と自覚したのは、映画祭に行くようになってからである。それまでマイナー映画にあまり触れたことがなかったので、映画祭でたくさんの映画が上映されていても、お試しで1本だけ観る…ということを何回か試みていた。そんな中、上映後に”Q&A”なるイベントがあることを知り、流されるまま参加。それがすごく楽しかったのだ!私自身も観賞後にもやもやしていた点を、観客のひとりが質問し、監督が即、それに答えてくれた。その爽快感、場内の熱気!ひとりで参加しても、興奮が高まっているせいか、孤独感もなく、ただただアツくなるばかり…。
 重要なのに気づけなかったことに気づけたり、他者の考えの深さに驚いたり…Q&Aでの学びは想像以上に深く、満足感が高い。まだ映画ファンという自覚がない者にも門が開かれているということも嬉しかった。映画ファン初心者の方には是非、おススメしたい感動体験である。

舞台挨拶・Q&A・トーク

 映画イベントで、映画関係の人が登場するシーンは複数ある。ここでは舞台挨拶、Q&A、トークについて、自分なりの考えを整理してみたい。

 「舞台挨拶」は、映画上映前後に行われる。監督や俳優などが登場!マスコミ向けの写真撮影タイムもあり、挨拶の内容や映像は映画PRに使用される。挨拶が上映の前か後かが事前に告知されていないこともあるので、その場合は行ってみないとわからない。だが、直に俳優さんを見ることができる上に、近年ではSNSでの拡散のため観客も写真撮影OKなケースも増えていて、映画ファンには人気が高い。時間は短め。(うろ覚えだけど、30分を超えることはない)

 Q&Aやトークが映画上映前に行われることはほとんどない。ゲストの時間的都合のため、挨拶のみサラッと行われることは稀にあるが、基本的には映画を観てからの深掘りタイム。 Q&Aとトークには、さほど大きな違いはないが、映画イベントによって呼び方が違うようだ。時間は30分〜1時間程度。

 映画イベントで行われる「Q&A」は、観客とゲスト(スタッフ・キャスト)のコミュニケーションが目的である場合が多い。…とは言っても、映画鑑賞後、すぐに質問が出てこない人も多いため、イベント司会者(映画祭の場合はディレクター等 関係者)がゲストと話を繋ぎ、自分自身の感想や質問を先にしながら時間を稼いでくれることがある。そのお話を聞きながら、そういえばこういうことを聞いてみたかった!と質問を思いつく観客もいるようだ。だが、特に映画祭では使用場所の時間制限が厳しいらしく、質問の数が調整されることがある。

 「トーク」でも質疑応答の時間が設けられている場合が多いが、司会者及びコメンテーターがゲストのお話を引き出す時間の方がメインに思える。対話スタイルや時間配分等、予めきちんと準備されていることが多いが、該当映画のスタッフ・キャスト以外の人が登壇者だった場合、あまり話が弾まず、いきなりQ&Aに突入することもある。登壇者の質によって映画イベントの満足度は変わってくる。

映画ファンの視点

 Q&A の面白さは、観終えたばかりの映画についての感想を、生で!直に!聞けることにある。自分が見落としていたシーンや、些細な場面(映像)について言及されていることもあり、即座に思い出せなかった場合は即その映画のリピートを誓ってしまう。映画談義ができる友人のいる人は良いが、ロンリーな映画ファンは、”他の人はこの映画をどう観たのか”が気になるものだ。他者の視点や感想がダイレクトに感じられるため、とても貴重な時間である。

オンラインでのトーク

 2020年からコロナの影響でイベントで人が集まる、ということが難しくなってきた。緊急事態宣言中でも試写会を決行する配給会社もあるが、応募に躊躇する映画ファンも多い。そんなせいもあってか、オンラインでのトークイベントも見かけるようになってきた。Zoomにて行われることが多い。登録は必要だが、自宅で貴重な話を聞けるチャンス。また、イベントが後日YouTubeで公開されることもある。一番のメリットは使用場所の時間制限を気にする必要がないこと。イベント自体に1〜1.5時間ぐらい、たっぷり予定時間をとっていることが多く、質問が多くて多少予定時間を超えてしまっても強引に切られることはない。



逃げ出したくなる映画トーク

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該当映画に関係していない人が登壇者となる場合

 該当映画に関係していない人が登壇者となる場合は、当たり外れが大きい。あくまでもこれは私の個人的意見だけど…。
 時に、全く知らない無名の人が登壇する場合がある。全員ではないが、該当作品への熱量が感じられないと、がっかりする。(自分的にはつまらなくても、別の映画ファンで高評価する人もいるかもしれないので、全否定はしきれない)登壇する人=映画に詳しい、と思っていた頃は、知らない人でもとにかく話を聞くようにしていた。しかし、最近は自分の方がこの手の話は詳しいかも…と思うことがあり、苦痛を感じることも増えてきた。

聞きたいぐだぐだ、聞きたくないぐだぐだ

 イベントにぐだぐだはつきものである。しかし、「今日話す内容、何も考えてないんで…」と序盤から率直に言われてしまうと、速攻帰りたくなる。けど、例えば空族の富田克也氏、相澤虎之助氏はそんな風に言いながらも、ちゃんと話せる人たちである。イベント用の台本などは本当に考えてなかったのだろうが、普段から映画のことをめっちゃ考えていて、行動もしている上に、富田&相澤コンビは阿吽の呼吸。打ち合わせなしでも全然イケるのだった。(スゴい!)
 そういう人ばかりだと良いのだが、残念ながらそうは行かないのが現実世界。映画監督でも驚くほど浅い映画経験しかない人もいて(考察も浅い…)、ぐだぐだな話をだらだらと続け、終了時間を迎えてしまう残念な人もいる。(実話!) 映画の場合は、よくわからない・つまらないと思っても、最後にどんでん返しで好感度大逆転もあり得るのだが、ぐだぐだトークにどんでん返しはありえない…。
 それ以降、ダメだと思ったら時間を無駄にしないために、そっと席を立つことにしている。


お金を払ってでも聞きたい映画トーク

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解説が聞けるトーク

 遠い世界の憧れの人の素の表情やラフなお話を聞けるのは、ちょっとした喜びでもある。だが、ミーハー的に見ることや声を聞くことだけが嬉しいという訳ではないので、できれば映画に関する深いい話をお聞きしたい。一番ダイレクトに響くのは監督、次は主演…という感じで、映画に関することについては、その作品に関わりの深い人がいい。
 映画祭の高めのチケット代はやや不満に思うこともあるが、トーク付きであることを考えると高いとは思わない。つまり、”お金を払ってでも聞きたい”という期待がある。
 また、トークが面白いと思うのは、専門家の方のお話。例えば、音楽、宇宙、建築など、映画内容に関連する分野の専門家は、元々お話も深いし、通常では思いつかないような映画の見方をしている場合もあり、刺激的だ。タダでも聞きたくないトークがある一方で、お金を払ってでも聞きたいと思うトークもある。

メンターと出会う

 メンター、という表現はちょっと大袈裟かもしれないのだが、映画ファンを続けていくためには、我流はちと厳しいような気がする。(それもアリかもしれないけれど…) 映画の選び方、見かた、解釈の仕方等、お手本と思えるような人がいると、あまり迷うことなく流れに乗れる気がする。
 お手本となるような人は話すレヴェルも高いので、有料の場合も少なくない。映画ライターだったり、映画祭関係者だったり、映画コメンテーターのタレントさんだったり…。誰かひとりでも自分の指針となる人を見つけておくと、映画ライフはより豊かなものになる。直接の知り合いにはなれなくても、映画イベントでメンターを見かけることが、励みになる場合もある。


至福の映画体験へ


 私が映画ファンになったのはなんとなく、ではなかった。石橋をそっと叩きつつ、なれるかな、なろう、なるぞ、と少しずつ気持ちを固めて行った。趣味なんだからそんなに気張る必要はないとは思う。でも、自分には何故か決意が必要だった。
 映画は作品が全てだが、それに付随するものが実は色々ある。映画のトークイベントもそのひとつ。良質なイベントに遭遇できると、至福の世界はさらに広がる。メリット・デメリットを早めに察知して、より映画鑑賞の愉しみを深めていきたいものである。