2016|監督:ブリランテ・メンドーサ
生きていくリアル
以前、同僚が東アジアの某国の空港でスリにあったと話していたことがあった。驚いた私は警察に届けたの?ちゃんと解決したの?などと立て続けに質問してしまったが、その人はそういうことに慣れていて、元々財布には小銭しか入れていなかったらしい。そして、笑いながら「でもさ、警察だってグルだもん」と言った。は? グル? いくら日本人を狙ったとはいえ、数人で分けたら取り分は少額になってしまうのに警察官すらそれを欲しがるの?…と、何となく納得できなかった。たまーにニュースに出るようなことをする警察官もいるけれど、基本、日本の警察官は真面目で正しいイメージ。でも、海外はそうとも限らないのか…と、思ったことがあったっけ。そんな会話を思い出しながら観た本作は、悪事をやらかす人間が主人公なのに、理不尽さに苦笑いしてしまうフィリピン映画。ちょうど大統領のことがニュースになったりしている時期でもあり、あーららこららと歌い出したくなる。また、画面がユサユサしていてリアルな感じなので、物事がちょっと進むだけでドキドキする。ラストで肉団子を夢中で頬張るローサの表情も素晴らしい。