2014|監督:チャイタニヤ・タームハネー
裁く人も裁かれる人も、生活者としての日常がある
裁判をテーマにしているのだからきっと重い映画なんだろうなぁと覚悟していたのだけれど、意外にもサラッとした感じの映画だった。監督は20代の若手、なるほど、思う。内容は、「理不尽な罪の裁判」に関わる人々の日常なのだが、判決結果のみがテーマになっている訳ではないところに「サラッと感」がある。ひとつの国の中に多数の言語があったり(結局英語が共通言語っぽい)、仰々しい裁判所ではないのに服装の決まりに厳格だったりと、裁判シーンにもインドにおける「あるある」が感じられ、なかなか興味深い。最初は事件に関わる人々の底辺の暮らしに注目したが、検事や裁判官の日常が見えてくると、外国人のひとりとして、より興味深くガン見した。インドに行ったことのある友人は、インドは地域によって全然違うと言う。なるほど、買い物や食事、バスの中、学童(?)…確かにこれまで見たことのなかったインドのような気が する。不条理なことも描かれてはいるが、躍起になって問題提起している雰囲気ではなく、こういう時こんなんなんですよ~この人たち…と他者目線ながら、表現するディティールにはこだわっている。貧困、移民についてもさり気なくグサリ。う、新しい。