2015|監督:ルーディ・フォーゼんバーグ
残り物には福がある
新しいクラスになかなか受け入れてもらえない中学生男子の物語。既にグループができていて、話ができるのはみんなにハブられている変わり者だけ。可愛い女の子と親しくなるチャンスがあるものの、思うような関係には発展せず…という、なんかどうしようもない感じの展開ではあるのだけど、鑑後感はそれほど悪くない。映画版『聲の形』に似ているような気がした。(主人公が罪悪感で苦しんでるところを除いて)嫌われもの同士でしかつるめないという選択肢のなさは不幸なようでいて、気の置けない仲間がいるって嬉しいねというラストに繋がっている。現代の日本では孤立化が進み、気が合わない人と一緒にいるくらいならひとりでいた方がいい、という人も多い。昔に比べてコミュニケーションが苦手な人が増えたように思うけれど、私はもう少し昔に戻ってわいわいできるような世の中になってほしいと思うので、仲間の大切さや居心地の良い関係が感じられる映画を大切にしたい。また、子供たちが真似しようとする大人(オトナ界でハブられている感じのDJのおじさん)がいるのもすごく良くて、世間的に正しくても正しくなくても、「憧れる人(大人)の存在」ってすごく大事なんだよなぁと改めて思う。
〈マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル 映画監督審査員賞、外国報道機関賞受賞作品〉