バンコクナイツ

2016|監督:富田 克也

あの頃の不良たちはどこへ

今から30年くらい昔は、不良がカッコよかった。親や教師の言いなりにならず、補導されない抜け道を考えつつ自分たちの世界を築こうとしている姿に、何やら憧れさえ覚えた。私は大人の敷いてくれたレールの上をぽやんと生きているだけの子だったので、彼らとは距離があったが、意思や知恵、実行力そして勇気もある彼らは、何となくヒーローっぽかった。でも。今の若い子たちには不良は不人気らしい。今モテているのは頭のいい子なのだそうだ。時代は変わったなと思い、年齢(とし)を感じざるを得ない。昔、私が憧れていた不良たちはどんな大人になったのだろう。この映画を観た時、彼らのことがふと思い浮かんだ。そして空族の人々に、大人になった不良たちの姿が重なった。
何かをやってみるもののうまくいかない、辞めて違うことをやる、諦めて違うとこに住む。そんなことを繰り返すけど、安心できる場所はない。女ともうまくいかない、変な奴に引っかかる。外国と日本を行ったり来たりするが居場所はない。途切れるようで繋がってる仲間はあの頃から付き合いのある奴らだけ…。やりたいこと、なりたい自分はプライドが作りあげた虚構。仕方なく外国から冷ややかに日本を眺め、歴史を知ることで何かを感じ始める…。そんな姿は痛々しいのに、何だかちょっと憧れてしまう。実は味のある映画を撮っちゃったり、研究者顔負けの調査・収集を形にしちゃう空族がカッコ良いからだ。黙って税金を払うだけの大人になっちゃった私だけど、あの頃のヒーローを、今もカッコいいと思いたい。