マダム・フローレンス! 夢見るふたり

2016|監督:スティーヴン・フリアーズ

音楽の殿堂 カーネギーホールで、どうしても歌いたい!

強烈に羨ましいのは、主人公がみんなに愛されていたことだ。夫に、彼女を取り巻く周囲に。
大層なお金持ちで女性版裸の王様になっている主人公は、自分の実力に気づけないかわいそうな人のように見えるが、それを全力でサポートする人々が、とてつもなく素敵だ。お金がほしいからという気持ちもなくはないと思うが、それ以上のことを彼女に感じ、魅了されている。夢を叶えるためのクレイジーな行動には驚きを隠せないけれど、その想いの強さには脱帽。自己実現が叶いにくくなっている今、自分の想いを口に出し、行動できる人は少なくなっている。人生を諦めながら、仕方なく生きていることが普通になりつつある現代に、この素っ頓狂な映画は夢を与えてくれる。どんな手を使ってもチャンスをつかもうとする心意気は、つい応援したくなる。人の心を動かすのは、熱いキモチしかないと私は思う。熱いキモチへの憧れと賞賛が、心の中でずっと続いていくような映画だ。

 

★special thanks:WOWOW

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