2013年|監督:ジョン・トレス
思春期のルーカスのエロティックな目覚め。
浮気をするのが男という生き物だとわかっていても、女はショックを受けてしまう生き物である。ルーカスのお父さんが姿を消すようになり、イっちゃった目でミシンをかけ続けるお母さんがめっちゃ怖い。そこに妙に共感しつつ、ルーカスの性的な目覚めを、きっかけも含め独特に表現した作品じゃないかなぁと思った。ツギハギ風な作りがかなり独特だし、消費期限が切れたフィルムを使うところとか、すごく面白い。差し込まれている古いビデオも何気に面白い。突飛な字幕や、フィリピンの一般市民は恐らく観られないことなど、有意義なお話をクリス・フジワラ氏の講義でお聞きし、低音でひたすら唸り続けている私である。ああ、何でもありなんだな!という面白さとか、何かを伝えても伝えていなくてもそれを遠くの世界で観て喜んでる私たちとの不思議な関係性、つながる世界の不思議…現代映画の存在には心の底からワクワクする!これが絶対に良いとか、誰かに強く勧めたいとは思わない。でも、アート系実験映画が自分の中に落ちた幸福感は、何物にも変えがたい。