1984|監督:ホウ・シャオシェン
あっちへ行ってなさい。子どもは見ちゃダメ。
ダメと言われると好奇心が抑えられなくなるのが人間。大人にも間違いとか駄目な所があって、でもプライドもあるから、つい言ってしまうのが「あっち行け」。だけど子どもはことごとくその言葉を無視…素直さに基づく可愛らしさとは真逆の子供らしさが繰り広げられているところが、最高に面白い。おしっこが上手にできない女の子が着替えをする時に言い放つ、「それ(そのパンツ)嫌い」だとか、一緒に遊んでる友達が遠くで座り込んでいるので何をしてるのかを聞くと、「う◯ち〜!」と大きな声で真実を答えてしまったりだとか…純な子供の姿が満載なところがたまらない。そうそう、子どもってこうだよね〜!と思いつつ、侯孝賢監督は何故こんなに「子ども」を知っているんだろうと驚いてしまう。ワクワクするような夏の景色の中で、楽しいだけではない様々に心を砕く姿は、第三者から見ると、とてつもなく素晴らしい世界に思える。生きてるっていいなぁ、人間、っていいなぁ、と胸が熱くなるのは昭和の生まれだからだろうか。また、心の病を抱えた女性「寒子」の描き方は、絶妙である。