2010|監督:深田晃司
ようこそ日本へ。さぁ、どうぞお上りください、自分家じゃないけど。
日本映画には珍しい、独特のブラックコメディ。困った状況でも「みんなと同じでいい」と従ってしまったり、ええかっこしいを覆せなかったり、人の弱みを握りながら自分の意見を押し通そうとしたりする人間の姿に、うぅ、(認めたくないけど)日本人らしいかも、と思ってしまう。何とか人間関係を崩さないようにぶつからないようにする努力だとか、亭主に見つからないよう裏工作を企む主婦だとか…表に出しにくいあるあるを作品にされてしまうと、ヤラレた感がある。
この映画には普段演劇をやっている役者さんが結構出ているようで、話し方とかにクセがあるから個人的にちょっと違和感を感じる人が少なくない。だったら映画にしなきゃいいのに、と私は思ってしまうのだが、それを見事に緩和するのが杉野希妃さん。彼女がいるだけでちゃんと映画になっちゃうからスゴい。また、深田監督作品に欠かせない古舘寛治さんが、本作でも飛び抜けた存在となっている。古舘さんは静岡県民には「コンコルド人間」であり、この呼び名の方が芸名よりはるかに有名なお方。何このヒト…という不思議さが隠せないのに、何故か嫌いにはなれない…その魅力が、映画にも活かされている。