2015|監督:フランソワ・ファブラ
家族間で語られない、母の死。疑問に思うのは自分だけ…
母の死の真相を知りたいというだけで家族からノケモノにされたり、主人公は酷い目にあっていたとは思う。映画自体は良い作品で、好みの作風。けれども、これは私が東洋人だからなのか…何となく引っかかるラストなのだ。 いつまでたっても事実を語ろうとしない父と祖母_ふたりとも酷い、許せない、で終わって良いのか…というのが率直な感想。確かに今は個人的な趣味趣向を毛嫌いしない風潮にはなってきているけれど、「イヤだ」と思ったり表現したりする人もまだいるはずで、じゃあそういう人が極悪人なのかと言えば、そうとも言えない。昔なら尚更そういう傾向はあったわけで、 彼とその妹を口の悪い大人たちから、祖母や父は守ってきたのだ。もし矢面に立っていたら、子供たちは母を毛嫌いして育ったかもしれない。家柄の体裁もあっただろうし、大人達は妻(嫁)の思いを受けいれ難い人格だったと思う。悲しい結末にはなってしまったが、強い殺意があったわけではなかったはず。主人公が家族間にあった溝の深さにずっと悩んできたことはわかる。だが、母を理解できるように「母を受け入れることのできなかった父」も理解してあげてほしいと思った。父親がどういう思いで「お前を誇りに思う」と言ったのかと思うと切ない。