クスクス粒の秘密

2007|監督:アブデラティフ・ケシシュ

思うようにならない人生は、価値がないのか。

仕事が思うようにならない。夫が思うようにならない。子どもが思うようにならない。…ならないづくし。周囲の人々や家族との交流はあるものの、自分には自信が持てないし…こういう設定って性別を超えて同情&共感する。私がアジア映画にハマったのは、個人の力ではどうしようもできないような環境や運命をぐっと堪えながら生きる人たちが、どんな風に不運を乗り越えて生きるのかを見たい、ということがあるのだが、こういう設定ってアジアに限らなかったのだなと、しみじみした。特にこの作品で感じたのは、悲観するしかないような自分を、温かい目で見てくれたり、気づかないくらいそっと支えてくれている人がいる、ということだった。 世の中は不公平。理不尽なことばかり。自分の不幸にばかり目を向けている時、孤独しか感じられないものである。でもそんな時に、実は自分を見ていてくれる人がいるのかもしれないと思ったら、ちょっとだけ心がほっこりした。同時に、誰かが困っている時にそっと力を貸せるような人になれるといいな、とも思った。ラストのベリーダンスは息を飲むような魅惑的なシーンである。

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