2015|監督:ホウ・シャオシェン|台湾、中国、フランス
その女人、刺客。
日本語字幕が出ていても内容の理解は難しい。だが、圧倒的に映像が美しく、音楽も素晴らしいため、違和感なく集中してしまう映画である。侯孝賢の昔の作品を思い起こすと全然別物に感じるが、彼が現代的な作り方を意識するとこうなるのか…と思うと妙に感慨深く、これはこれで良いような気もしてくる。運命とか自分の立場を理解しつつも、それに抗うことなく受け止め、生きる感じが相変わらずの侯監督節のように思えるからだ。また、すっと背筋を伸ばして歩く硬派女子、スー・チーがあまりにもカッコよく、『百年恋歌』とは違った魅力が感じられることも興味深い。(本作はスー・チー出演作で一番好きかも!)彼女に感情がないわけではない。自分の気持ちも、他者の気持ちもしっかりと把握できる人…。ハートウォーミングなのにこの潔さ。シビレるぅ。 もうひとつ見逃せないのは東洋美。日本人としては全く違和感ないけれど、明らかにこれは日本ではない。韓国とも違う。この違い、欧米の人々にわかるのかな?と思いながら見ていた。似ているけど、違うんです。東洋人としてはその違いがまた、面白い。