ファンドリー

2013|監督;ナグラージ・マンジュレ|マラーティ語

差別され、辱めにあい、からかわれた人間の、屈辱。

社会の中で自分の存在価値を感じ、優越感に浸ることは人間にとって至福の瞬間とも言える。人より頭ひとつ出た感のある自分には自信が持てることだろう。だが、それが個人の努力や才能ではなく、家柄や身分、肌の色で決まってしまうことであっても良いのだろうか。
本作の主人公は勉強への意識も高く、齢相応にお洒落や恋愛にも興味があり、将来に夢や希望を持っている少年。だが、カースト層が低いため家が貧しく、人前で親に殴られたり、恥ずかしい姿を好きな人に見られてしまったりして、最後は爆発してしまう。特に終わりに胸をえぐられる。石を投げたのは、からかった男に対してだけでなく、映画を 観ている観客に対して投げたようにも感じられたからだ。確かに私もただ黙って観ているだけ…。見せもんじゃないんだぞ!と言われてもおかしくはない。それに対して私はどうしたらいいのだろう。努力が報われ、夢や希望が持てる社会…その実現にこれほど時間がかかっているのだから、根深い難しさがあると思う。まだまだ分かり得ないインド社会の闇にも触れた気がした。

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