カーンチワラム サリーを織る人

2008年|監督:プリヤダルシャン|タミル語

働けど働けど、我が暮らし楽にならざり。

芸術性が感じられる美しいサリーはイギリス人に気に入られ、需要はある。だが職人に渡される報酬は、なんともわずかな額なのだ。生活はできているものの、サリーを買うことなど、夢のまた夢。妻にも着せてやれなかったサリーを、娘には何とか着せてやりたいと、わずかな額を一生懸命貯金するが、夢は遠のくばかり…。
努力家で頭も良く、リーダーシップもある主人公だが、労働条件を改善することができず、反則技を使ってしまう。妻や娘を喜ばせたい一心で密かに進めていたことなので、私にはこの男を責めることができない。植民地で生きるということはこういうことなのか、と思うと何ともつらく切なくなる。誠実さや熱意、努力といったものがまるで意味をなさないなんて…。それが昔のお話ということではなく、現在もサリー職人の労働環境は劣悪とのことなので、さらに胸が痛い。

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