2015|監督:セバスティアン・シッパー
これまでの人生になかったような幸せとありえない不幸を、一夜で両方経験することに。
私の姉もピアノを習っていた。幼い頃は私も真似っこで習っていたが、残念ながら才能と根性が足りなかった。姉が音大に受かった時はスゴい!と思ったが、当然と言えば当然だった。彼女の練習量は一日6〜7時間なのである。姉は帰宅部で彼氏もいなかった。そんな人生、楽しいのかねと思っていたが、彼女にとってはピアノが青春の全てだったんだと思う。だから、この映画の主人公・ヴィクトリアが、友達みたいな人は実は敵で、敵を倒さないと自分は上位に上がれない…というようなことを話していた時、まるで姉のようだと思った。何もかも犠牲にして築き上げてきたことをやめるなんて、つらかっただろうな…。
言葉の通じない国に行くことも、アルバイトをすることも、友達とつるむことも、ワルいことするのも、人を信じることも、誰かの役に立ちたいと思うことも、好きな人とキスすることも、彼女にとっては初めての経験だったと思う。…なのに、人生って残酷だ。