エール!

2014|監督:エリック・ラルティゴ

理解できない部分まで信じて認めてくれた、家族の深い愛情。

主人公の少女以外の家族に聴覚障害があるけれど、そんなことは問題にならないくらい幸せで、家族はみんな仲良し。しかも、わんこや「オバマ」と名付けた黒い牛もすごく可愛くて、豊かで楽しい毎日を過ごしている。だが、ある日突然教師に歌の才能を見いだされ、パリで勉強してみないかと声をかけられる。
家族と自分の夢、どっちが大事?…という悩みは特に珍しいテーマではないが、それでも重要なのは「少女の心の動き」だろうと思っていた。だが、段々と「家族の心の変化」の方に重みを感じるようになっていった。特に母親は「育て方を間違えた」と怒り心頭で、蕁麻疹(?)が身体に広がってしまう。父親も選挙に立候補していて、色々な意味で協力者が必要な時期だった。しかも自分たちは耳が聞こえないので、娘の声の素晴らしさを理解してあげることができず、「歌」の概念すら掴めていない可能性もあった。だが、パパはしっかりと娘を向き合う。心の耳で聴こうとし、人々の反応を見て、娘に気持ちを確かめる。…こんなにもしっかりと愛されて育てられたからこそ、いい子に育ったんだなぁと思うと涙、涙である。愛する家族に信じてもらえたエネルギーは、何ものにも変えがたいはずだ。

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