1997 |監督:ウォン・カーウァイ|香港、日本
やり直すことは難しい。
終わりの方で「会えると思えばいつでも会える」みたいな言葉がつぶやかれていたが、そんな風に思うことで、前の恋(レスリー)を忘れたことにするんだな…と思った。職場で出会った男とは深い付き合いにはならなかったものの、彼(トニー)にとっては恋愛の対象だったのか。…男同士って難しい。でも、やっぱり恋なんだろうな。序盤はカッコいいふたりがなんてこと…と思ったけれど、アーティスティックな画像に結構粋な感じで馴染んでいる。タンゴもいい。製作には色々問題もあったようだけど、それなりにひとつの作品としてまとめているところがスゴい。
やり直すことは簡単!とか、諦めるな!というアツい言葉が巷には溢れているが、私の経験ではやり直すことは、難しい。自分に向かい合うだけでもそう感じるのに、「やり直そう」と言われて簡単に頷く人間が多いとは思えない。別れと再会を繰り返す男たちを、やり直せてるのか?と斜めから見ていたが、やっぱりやり直せてはいなかったように思う。やり直すのは難しいし、思いがあってもいつでも会えるわけではない。そんなアンニュイさが、実は漂っている。