始まりは五つ星ホテルから

2013|監督:マリア・ソーレ・トニャッツイ

これで良かったのか、自分の人生。

五つ星ホテルの評価という何とも羨ましい仕事を持ち、煩わしい家族や夫もいない自由気ままな暮らしをしている中年女性の物語。暮らしにはそこそこ満足しているのだが、仕事先で出会った知人の突然死を目の当たりにして、自分の生活や将来に突如疑問を感じるようになる。
彼女と同じ身分ではないけれど「わかるわぁ」と思った。ショッキングなことを目の当たりにしたところで、自分の人生をすぐに変えることはできないし(家族を持つとか)、仕事だって変えられない。贅沢言っているように見えるかもしれないけど、現状を維持しながら生きながらえる他ないのである。頼れる人も少なく、老後の蓄えもなく、どうするのどうするのと周りに言われ…独身女性はなかなか辛い。でも、これまでの人生、自分の意思で一番良い選択をして生きてきたことに間違いない。これで良かったのか?とは思うけれど、それを選んだのは自分。自分の幸せを選択したのは自分、そのことを認めて褒めてあげるのも自分しかいないのである。エンドロールでチラ見できる上海旅行がすごく魅力的だ。

©2015 Cinemarble / produced by 703