2014|監督:杉野希妃
第三者として生と死を見守る女性が、感情を解放すると。
画像が美しく、日本映画とは思えない感覚。バリで撮影しているからというだけでなく、細やかな視点にもセンスの良さが感じられる。ただ、全体的にバリの魅力(生命力溢れる自然の美しさ、ケチャや踊りなど)が押し出されて過ぎていて、肝心のエピソードが負けているように思う。杉野監督のテーマの絞り方やキャスティングは素晴らしいとは思うのだが…。また、三津谷葉子さんの演技も良くて、グラビアアイドルじゃなかったのか!という新鮮な驚きもあった。今後の活躍も見守っていきたい女優である。ただ、そんな風に様々な素晴らしい要素を感じながらも、なんとなく賞賛しきれないのは、主人公の女性に共感できなかったからだ。日常から離れた海外、出産の立会いといった生命の輝きが十分に感じられる環境で、気持ちが高まったからなのか?、と無理やり解釈しているが、女性心理に同性として共感しきれなかったのは、なんとなく残念。