過去のない男

2002|アキ・カウリマスキ|フィンランド、フランス、ドイツ

記憶をなくした男が、真の自分と居場所を見つける物語。
印象的なのは、登場人物たちの秘めた感情である。ほとんどの人がポーカーフェイスでオーバーアクションがない。だが無表情だからといって、何も考えていないわけでも、感情がないわけでもない。主人公も持ち前のコミュ力と素直さで、着実に人間関係を築いていく。周囲の人々も、表情からは気づけないくらいに親切だったりする。不思議な感覚だが、日本社会よりも遥かに温かさを感じた。
面白かったのは、帰りの電車の食堂車で、主人公がお寿司を食べるシーン。何故ここで寿司?!と思うし、バックで流れている「ハワイの夜」とかいう謎の演歌(日本語)も笑える。

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