ひまわり

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巨人の上原 浩治選手(以下、敬称略)が
不調らしい。

少し前になるが、
某番組のスポーツコーナーで 
対談する上原を見た。

対談の相手は
桑田真澄氏(以下、敬称略)。


基本的に野球に全く関心のない私は 
正直今シーズンでさえ
各チームがどんなことになっているのか
わからないのだが、
そんな私の目にすら留まってしまう位、 
上原は気力を失っている。

スポーツ選手が大変だなぁと思うときは
こういう時だ。
そっとしておいてほしい時こそ 
マスコミはつつきにくる。


マラソンの高橋尚子選手もそうだった。
不調を隠し、笑顔で乗り切ろうとする彼女を
見るのはつらい。

上原のように不調をさらけ出す人も 
私はやはりつらい気持ちで見つめる。

平気なふりをしてもしなくても 
マスコミに囲まれるのは同じなのだ。

絶好調の時に囲まれるのは嬉しいだろうけど、
不調の時、
自分だけに向き合って集中したい時に 
やいのやいの言われるのは
どんなにかつらいだろうと思えてならない。


けれども、残酷なようだけれども、
私は「人が立ち直っていく姿」に
関心がある。

自分に向かい合い、
もがきあがいている姿には 
人間らしさをとても感じるからだ。

そして、同時に自分自身を重ねている。

私にも「立ち直りたい」願望がある。
自分自身でも色々がんばって
何度もエンジンをかけてみたが、
どうもうまくいかない。

立ち直るには時間がかかる。
けれども 私の場合は
少々時間がかかりすぎている。
立ち直れないまま、
自分を見つけられないまま、
このまま歳をとって
死んでしまうのではないか…
いやいやそんなの暗すぎる。

立ち直るために、何か指針が欲しい。
どうしたらいい?
なんとかできないものか。
…実は私自身も 
もがき苦しんでいる人のひとりなのである。


上原を見守る桑田の視線は実に柔和である。

私は選手としての桑田を
あまりよく知らないのだけど、
引退後の色んな番組での発言を聞くうちに
彼の人間性を信じるようになった。


「真っ暗な部屋に
ひとりでいるような気分なんだろ?」


上原は桑田の言葉にうなずくことしかできない。
なんとかしたい。
はやくここから抜け出したい。
上原の切実な願いが伝わってきて 
私は少し泣きそうになった。

怖いもの知らずで生意気なことを言ってるから
俺はつぶされるんだ…自虐的に嗤う上原。
見守る桑田の穏やかさが不思議なくらいだ。


「つぶされて、尻尾巻いて逃げたら終わりだから」


それに向かい合っていくには 
とてもとても時間がかかる。
でも、それ越えたら絶対オマエは強くなれる。
他の人より
恵まれた環境や能力があるんだから。
向かい合うには地味な努力を続けてくしかないけど。

桑田は静かに語った。
タレントキャスターが言ったら
絶対に陳腐に聞こえるであろう言葉だが、
桑田が言うと「努力」は 
どうしてこんなに重みがあるんだろう。

星野監督の期待とは全く違った意味合いで 
桑田の言葉は鋭くささったのではないか…と
私は感じた。


立ち直る。
自分にしかできないことだ。
小さな努力を積み重ねて、
別人に生まれ変わりたい。

自分しか取り組めないことだが、
それを見守ってくれる人が
いるといないでは環境は大きく変わってくる。
韓国映画『ひまわり』では
“お母さん”の存在が
シチュエーションの段階でもうすでに深い。

しかし、
すんなり立ち直らせてくれないのが韓国映画。
必ず足を引っ張る輩(やから)がいる。
残念だけど、
それが現実かもしれない。
(ヤクザではないにせよ…)

無念だ、残念、悲しい。
そこから学べるものはあるのだろうか。
一瞬ないように思える。
だけど、彼に影響を受け、
自らの生き方を正した妹が 
私には嬉しく思えてならなかった。

自分に真剣に向かい合った姿。
大切なものや家族を
守ってくれた、強い心。
――彼の存在は
無意味ではなかったと思うのである。


希望なんてこの世にあるんだろうか。
もがき、悩み、苦しむ上原。
…しばらくは大変だろう。

けれども、その姿から何かを感じ、
学ぶ人もこの世にはいるはずなのだ。
共感する人も、秘かに応援する人も。
どうか乗り越えて、
心からの笑顔を見せてほしい。


私も。
「立ち直る」ことに
まっすぐ向かい合っていこう。
結果が出ず、
イライラすることがあっても、
今は小さな地味な努力を積み上げていくほか
ないような気がするのだ。


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