黒い土の少女

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何故か韓国映画には
“自分のこれまでの人生の中で遭遇した
理不尽な出来事”を
追体験するようなテーマが多い。

深く、重く、つらく、苦しいこと。
それらはできれば直視したくない。
考えたくない。
思い悩みたくない。
だから 
人にも話したくない。


昔はよくつらいことがあると
母や友人に聞いてもらっていた。
でも、結局
その問題を超えるか超えないかは、
自分自身なのだ。
自分でしか決められない。

話して楽になることも時にはあるので 
自分を追い詰めないようにしようと
思うときもあるのだが、
だんだんと
一人で耐えることが多くなった。


『黒い土の少女』には驚かされた。

誰にでも起こりうるような題材ではないのに、
自分の経験に重ね合わせることが
できたからである。

こんな経験ほかの人にはないよ…と
思うようなことが、
ちゃっかりと映画にまとめられていると
「ぎゃふん」と思う。


私はこの少女を叱ることはできない。
どうすればいいのか、
大人の私にもわからないからだ。


私の場合は職場だった。

全く頼りにならない上司と
年上で障がいのある男性の
パートタイマーを抱えて、
精神的に凹んだ日々…。

状況が重なり くらくらした。
私は障がいのある人を差別する気は
全くない。
どちらかといえば 
応援したいと思う方である。

しかし、何の前触れもなく、
突然配属されて来たとき、
正直戸惑った。

申し訳ないけれど、
自分だけでやったほうが
明らかに処理が早いからである。


言語障害もあった彼とは
日常会話が全く成立しなかったため、
全くコミュニケーションがとれなかった。

だが、業務を遂行する上では、
細かい決まりごとを
たくさん伝えなければならず、
間違いを直してもらったり、
対処法を教えなければならなかったので 
時間的に大変なロスがあった。
(※彼の名誉のために付け加えるけれど、
とても真面目で
仕事を一生懸命するかたでした。
無駄話がない分、健常者よりも
仕事がはやかったかもしれません)

それでも、
できるだけ丁寧に接するよう 
一応は努力した。
彼は口頭での質問が
できなかったからである。

訂正をお願いするときも、
怒らせないように、恨まれないように…
相手にどう思われているかが
全くわからなかったため、
とても慎重に日々を過ごした。

しかし、業務はあまりにも
多忙になっていった。
…教えてるより
自分で訂正しちゃったほうが早い。
…一回そう思ってしまったら、
後は気持ちがガタガタと崩れていった。


彼の障がいの程度や治療状況なども
まるで伝えられることなく、
いやおうなしに
受け入れなければならない立場。

残念ながら 
それに見合う器が私にはなかったのである。
人として最低だと思う。

そして、きちんとした受け入れ体制もなく、
正社員が一人もいない部署なのに、
非正社員に「面倒見てやって〜」と 
すべて押しつけようとする
その職場の人たちも許しがたい。

しかも、障がい者を雇用することで、
社会的には
「積極的に障がい者支援を行っています」と
アピールしているのだから。


仕事は頑張りたかったが、
私はいい人になりきれなかった。


その人は自分の意志とは関係ないところで
声が出てしまう傾向もあって 
突然奇声を発したり、
一時間近く無自覚で
CMソングを繰り返し歌っていたり
するのである。

そういう人が近くで仕事してて、
集中できるかといわれれば、
無理としか言いようがない。

どうしても、一緒にはやっていけない。
上司には色々と掛け合い、
提案もしたりしたが、
全くとり合ってもらえず
「(あなたが)耐えるしかないね」と 
ただ言い放たれた。

そして追い詰められて 
結局退職することになった。

誰一人引き止めないし、
送別会すらなかった。
同じフロアーには他部署のスタッフもいたが 
全員が「部署違うから無関係」という顔をしていた。

…無視。

全員が自分さえよければいいと思っている…
思いやりの全くない、理不尽な職場。 


人間不信になっちゃった…。
疲れちゃった…。
どうしたらいいか、
わからなかったんだもん。
ブツッ。


退職したとき、
私はこの映画のラストみたいな感じだった。
あの少女と同じような顔をしていたと思う。


…完全に言い訳だけど、
自分を守るためにはこうするしかなかったのだ。


この少女がその後どうなったかが
とても気になる。
私は職場だったので、
転職すればそれで終わるかもしれないけど、
家族の場合は簡単ではないだろう。
キビしいなぁ。

この少女が人が信じられる人になれたか 
とても心配。


「退職」は自分自身で決めたことだ。
でも、自分がこんな人だったことが私はとても悲しい。