青燕

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私の韓国語のY先生は韓国人だ。


韓国人だけど、日本の大学院で博士課程を終え、
研究者になろうとしている。
もしかしたら研究は
アメリカでするようになるかもしれない。
ご両親は韓国を離れた、別の国で暮らしている。

…そんな環境を聞いただけだけでも、
なんとグローバルな人なんだろうと思う。


先生は韓国語の授業の中でも、
けして韓国の文化やしきたりを
我々に押し付けるようなことはしないし、
日本人に囲まれているからといって
日本に迎合するようなことも言わない。


どんな国にもいい面と悪い面があるが、
いい面だけを見ていくと楽しいし、
どの国も好きになれる。
本当は日本での苦労も色々あったと思うが
「大変だと思ったことがない」と笑う。

いちいち大変だと思っていたら、
外国暮らしはやってられなかったのだろう。


『青燕』を観ながら、私は先生のことを考えていた。


大変な時代に愚痴ひとつ言うこともなく、
明るく前向き、負けず嫌い。
自分の力を信じて力強く生きる姿に先生の姿を重ねて観た。


日本では外人扱いされて名を残すことが難しく、
韓国でも日本で身に着けた技術が認められるのは難しい。

本作のヒロインは時代の渦に巻き込まれてしまい、
おそらくこの映画ではじめて世に知られることになるのだろう。


韓国人だから日本人だからということではなく、
その人個人として業績を認められるような世の中になってほしいと
願わずにはいられない。


先生にも真の国際人としてその難しい研究を世に広め、
活躍してほしい。
私がふと不安になったのは、
今の世も願うような世の中になっているかに疑問があるからなのだが――。


多くの尊い命が散ったと思われる立川飛行場(基地)も今はもう、ない。
どういう経緯でなくなったのかは不明だが、
跡地に国の研修・研究機関の施設が建設中だと人づてに聞いた。

〈シネマコリア2006〉