マウミ

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韓国映画の魅力のひとつに 
“現実から目をそらさず、
観たくないようなことがらにも
しっかり目を向けているところ” がある。


もちろん、わざわざお金を払って観にいくのだから
内容はこちらが選んでいることもあるけれど、
なかなか日本映画では描かないようなことも
わざわざ表現しているような気がしてあえて観てみたいと
思うときがあるのだ。


以前、韓国語語のY先生にこのことを話した時、
確かにあえて描いていることがある(メッセージが込められている)、
と言っていた。

人は幸せになるために生まれてくる、と言われるが 
幸せとは何かを考え社会に訴えようとしている
関係者各位の姿に心打たれる。


この作品にも子どもを捨てて
自分勝手に生きようとする母親がいる。


他人の子まで面倒見切れないと引っ越すお隣さん。
ふたりだけの兄妹で生きていくしかない現実。
人の弱みにつけ込んで怪しげな団体を作っている変態。


救いは 盗んできた子犬「マウミ」が賢かったことだ。


私はあまりジブリ作品に詳しくないのだけれど、
たまたま知っている『となりのトトロ』に
とてもよく似ているような気がした。


トトロの変わりにマウミがいて、
子ども達を和ませてくれたり、助けてくれたりする。
バスを待つシーンなんか そっくりである。
監督がトトロを知っているかどうかはわからないけど、
子どもの表情をとてもよく表現していると思った。


ただ、トトロよりもマウミは現実的で、
体をはってまでお兄ちゃんを助けてくれる。
お兄ちゃんは途中からマウミに恨みを持ち、
邪険に扱うが、
どんなことがあってもあきらめないマウミに
感謝するようになる。


心のつながりを強く感じられたのは
このあたりのシーンからだ。
マウミの命も終わりに近づく頃、
「盗んできてごめんな。
おまえもお母さんが恋しかっただろう」と
マウミの気持ちを思いやることができるようになる。


私は普段犬より猫派なので、
犬が家族です、という人の気持ちが
よくわからないと思っていたけれど、
犬が飼い主のことをここまでわかってくれていたら
やっぱり家族だな、と思った。
(でも、実際の犬ってこんなに賢いのかな?という疑問も・・・。
感動をあおるような音楽も途中、
ちょっと〜、ちょっと、ちょっと と思ってしまった。
この辺の感動はありがちといえばありがちなので
シビアな感想を持つ人もいると思う。)


きれいなラストになっていたが、中身はかなりおどろおどろしい。


現在の韓国にも実際に孤児
(親がいなくて地下鉄で眠らなければならないような…)
がいるのかどうかよくわからないのだけど、
その状況は何とかしてあげて欲しい。
…何とかならないものだろうか。


日本のホームレス自立が難しいように、難しいのだろうか。やっぱり。

〈第20回TIFF コリアンシネマウィーク上映作品〉