『心と体と』映画感想 相手に近づいてみる、少しずつ

序盤の食肉処理場が結構グロテスク。でも、だからこそ命の尊さを肝に命じて観られたし、ただの綺麗ごとファンタジーではない空気感が感じられた。この映画はまるで詩のようなラヴストーリーなのだけど、これまで触れたことのないような、斬新な感覚。生きること、異性を好きになることって 動物的な感覚なんだ…と 思った。誰かと夢を共有するのもステキ…。言葉ではなく 相手の感覚を感じとりながら、にじり寄っていく感じがよき。

2017|監督:イルディコー・エニェディ


『マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)』映画感想 葛藤する家族

芸術一家の話の噛み合わなさには、序盤からイライラする。確かに不快だし、嫌な感情ではあるのだが、私はイラつく映画が意外と嫌いではない。本作もそうで、むしろ好きな作品だった。大の男の取っ組合いのシーンの辺りから、妙に羨ましくなってくる…。どんな人間も 感情で生きている。無意識にホ・オポノポノ*1を唱えることになりながらも 全くもってクリーニングしきれない家族間問題…。予想以上にジワジワきて、涙。後を引く。

2017|監督:ノア・バームバック

*1:「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」の4つの言葉を唱えるだけで幸せになれるというハワイ伝統の秘法

『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』映画感想 キューティープチ…

リスクを負っても国家の危機を対処しようとする必死さに、今の日本に感じられないアツいものを感じた。周辺国との関係の微妙さもリアリティがある。結果が全てとはいえ 盗んでまで…等 かなりフライング気味な判断も多く、それこそ日本では作れない映画だと思った。従来型の"正義感に溢れたヒーロー"を主人公にしない感じも韓国映画らしくていい。人間味溢れるジョンウ&ビョンホンの不真面目さったら…。マブリーの学者役も新鮮。

2019|監督:イ・ヘジュン キム・ビョンソ


『ジョジョ・ラビット』映画感想 空想の友だちとリアル

誰かの幸せって誰かの不幸の上に成り立っている。最近、そんなことをよく考える。自分が不幸だと感じる時、心の狭い私はすぐブー垂れてしまう。だけど、自身が大変な立場に立たされていても他者の幸せを考えられる人って オトナだなぁ。本作でのママやキャプテン・Kは、躊躇なく若者に命を譲ることができるオトナ…。でも。子どもって、当然のごとくその尊さを享受し、そのありがたさに気づかない…。そうなの。その残酷さ、リアル。

2008|監督:タイカ・ワイティティ
第92回 アカデミー賞(2020) 脚色賞


『素晴らしい一日』 映画感想 二度と会いたくない男

平安寿子さんには申し訳ないけれど、私は小説より本作の方が好きだ。…というのは、原作にないシーンがエンドロールに映っていて、その映像に超共感したから。序盤の鬼の形相もわかりみが深過ぎるし、こんな男のどこが好きだったんだか と自分を呪う気持ちにも共感する。けど、嫌いなところや好きだったところを振り返った後の ”出会った瞬間” って、反則じゃね? !と思うくらい ドキドキした…。あったんだよな..、あんな時代が。

2008|監督:イ・ユンギ


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