『ニーゼと光のアトリエ』映画感想 心を開放する権利

実話にもとづく、女性精神科医の奮闘を描いた作品。彼女の自信とぶれない考え方の軸には、優しい夫と かわいい猫たちが寄り添っていた。「新しい挑戦」は、なかなか認められず、悔しい思いもするのだが、満たされている人間は やはり強い。人間は支えや癒しがあってこそ、強く生きることができるのかもしれない。自分を表現することは心の開放。生きる意義、その人らしい自由、伸び伸びと生きる幸せについて、改めて考えさせられる。

2015|ホベルト・ベリネール
第28回東京国際映画祭(2015) :『ニーゼ』 コンペティション部門 東京グランプリ, 最優秀女優賞


『ある過去の行方』映画感想 過去と未来は大人だけのもの?

思い通りじゃなかったから結婚やり直す、というのもアリだとは思う。だが、夫婦って他人にはわかり得ないような絆があるような気がしてならない…。特別な"何か"に気づけず、安易にエゴに走る男女の物語かと思っていたが、再鑑してみると、そんな大人から被害を受けている子供たちの姿が心に残った。子供には子供の過去があり、治りきらない傷や自己防衛本能もある。縁ってやっぱり大切。やり直すのは、簡単なことじゃないのかも。

2013|アスガー・ファルハディ
第66回 カンヌ国際映画祭(2013) コンペティション部門 - 女優賞


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『奇跡の丘』映画感想 イエス・キリストの生涯

あなたの父母を敬え(出エジプト記20:12)。本作のイエス様の言葉(教え)で一番気になったのは、この聖句だ。映画を観ながら私はぼんやりと思った。イエス様も敬っていたのだろうか?…と。十字架に掛けられた我が子を見て言葉を失い、膝から崩れ落ちるマリア。人々から”聖夫”と敬われることがなかったのではと思われるヨセフ…。リアルでは信じることが難しい受胎を受け入れた両親もまた、苦しい人生を送ったのではないだろうか。

1964|ピエル・パオロ・パゾリーニ
第25回ベネチア国際映画祭(1964) 審査員特別賞


しばらくお休みします(2/12) → 再開します(6/15)

連続更新を目標としておりましたが、家族に不幸があり、更新が難しい感じです。
落ち着いたらまた再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(2/12)

少し落ち着いたこともあり、再開したいと思います。
(6/15)

『黄金の七人』映画感想 完璧過ぎる偶然

ため息が出る完璧さだった。充分に練られた計画を 充分に考えられた人選で、ソツなくこなしてしまう華麗さ。多少のドキドキはあるものの、ほぼ順調にコトが運ぶ安定感。テーマが幾重にも重なる作品だと疲れることもあるけど、シンプルに目標達成されていく光景は超心地良い。色彩も音楽もご機嫌でめっちゃブラボー!だからこそ、ラストの完璧すぎる偶然にはぐうの音を出すしかないと思った。グーググーググー!(エドはるみさん?!)

1965|マルコ・ヴィカリオ


『ディーパンの闘い』映画感想 ニセの人生なんてない…

家族を救えなかった心の痛み。同じ過ちを二度と繰り返すまいとする、主人公・ディーパンに釘付けになった。病んだ心を癒す間もなく、内戦中のスリランカから渡仏。言葉が通じなくとも希望を捨てず、懸命に生き延びようとする…。本当の妻じゃないし、本当の夫でもないし、本当の子供でもない…渡仏するために体裁を整えただけの3人の心の動きに、心が揺さぶられた。荒々しいシーンもあるけれど、スタイリッシュな映像に魅せられる。

2015|ジャック・オーディアール
第68回 カンヌ国際映画祭(2015) パルムドール


『白いキャラバン』映画感想 一度でも道を踏み外したら

羊が可愛いのは、性格が素直で人間に牙を向くことがないからなのかもしれない。だが、一度驚かせてしまうと暴走は止められない。羊と人間って、似てる気がする。過酷で大変なこともあるが 楽しみもあり、代々続いている”誇りある暮らし”。群れに所属する居心地のよさと、同調圧力的暴走…。幸福や正しさ、自分の気持ちに正直に生きること…様々な立場の人間の様々な価値観が怒涛の如く押し寄せ、苦しく、悩ましかった。でも傑作。

1963|エルダル・シェンゲラヤ+タマズ・メリアヴァ共同監督

ジョージア映画祭2022 コーカサスからの風 | 岩波ホール

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